結納とは仲人が両家を行き来し、結納品を届けるのが正式なやり方です。しかし、現在は両家が一堂に集まり、仲人を立てずに結納品を取り交わす「略式結納」が主流となりました。今回は「略式結納」の進め方を2回に分けてまとめてみます。
男性側が女性宅を訪問して結納を行うときは、男性の父親が玄関先であいさつをし、結納を行う部屋へ通してもらいます。
男性側のみが入室し、結納セットを床の間、もしくは床の間の前に飾ります。この間、女性側は別室で待機します。レストランなどで行う場合、床の間がない洋室であれば、テーブルの上に飾ると良いでしょう。この間は無言で行うことが、しきたりとされています。準備ができたら、男性の父親が一声かけ、女性側が入室します。
ただし男性側、女性側の順で同時に入室し、女性側が見守る中で飾りつけを行うケースもあります。
座る場所は、床の間に最も近い上座が男性側となります。入口に近い下座には女性側が着席します。床の間側から父親、母親、本人と座るのが本来の順番ですが、最近は床の間側に本人、続いて父親、母親と座ることもあります。
ホテルなどで結納プランを利用するときは、あらかじめ結納セットが飾られていることが多く、入室や座席についてはスタッフの指示に従えば大丈夫です。
男性側の父親が進行役となります。ホテルの結納プランでは、進行役のスタッフが付くときもあります。
まず男性側の父親が始まりの口上を述べます。
口上の例としては、「このたびは、〇〇(女性の名前)さんと、私どもの〇〇(男性の名前)に、またとないご縁をちょうだいしまして、誠にありがとうございました。本日はお日柄もよいので、結納を取り交わさせていただきます。仲人様をお通しするのが正式ではございますが、本日は略式にて進めさせていただきます。よろしくお願いいたします」といったものや、「本日はお日柄もよく誠におめでとうございます。ただいまより両家の結納式を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いします」などがあります。
結納品は床の間に飾った状態で、男性の母親が女性側に目録を差し出し、男性の父親が「これは○○(男性名前)からの結納でございます。幾久しくお納めください」などと口上を述べます。ほかにも、口上を述べる男性の父親から、目録を手渡す場合や男性本人が口上を述べるケースも増えています。また、この際に男性側の家族書も一緒にお渡しします。
目録は、広蓋盆に載せ、袱紗(ふくさ)をかけてお渡しするのが正式なやり方です。
一方で、男性側の母親が席を立ち、床の間から女性側に結納品を運び、納めてもらう形式もあります。
女性側は父親のみ、もしくは本人、父親、母親の順に全員で目録の内容を確認します。その後、女性本人もしくは女性の父親が「結構な結納の品々をありがとうございました。幾久しくお受けいたします」などと口上を述べます。
結納品の内容の確認が終わると、女性側の母親から男性側の父親へ受書を渡します。その際、女性の父親が「結納の受書でございます。どうぞお改めください」などの口上を述べます。女性側の父親から受書を手渡すようにしても良いでしょう。
受書は、簡単に言えば「領収書」のようなもので、何を贈ったのか記録しておく大切なものです。
受書は女性側が準備するものですが、結納品の内容が分からないと書けません。そのため事前に、目録の内容を男性側に尋ねても良いですし、聞きにくい場合は「目録之通(あるいは御結納の品々)」として作成しても構いません。
最近は結納セットを購入したときに付いてくる場合もあり、そのときは男性側から「受書はこちらで準備いたします」と女性側へお伝えし、結納の前に渡しておきましょう。女性側は受け取ったあと、内容を確認した証しとして、捺印や署名をします。男性側が目録を用意しない場合、女性側も受書を準備する必要はありません。
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