大好きな彼からプロポーズをされ、挙式の準備をはじめていたころのことです。突然、彼から婚約破棄を言い渡されました。これは、一度婚約破棄までしたけど再び復縁することができた私の体験談です。
取引先の会社の営業担当の彼と3年間の交際期間を経て、プロポーズされました。それはもう嬉しくて、幸せの絶頂でした。私の両親は高齢で1人娘の私としてはなるべく早く結婚して両親を安心させたいとずっと思っていたのです。また、学生時代に仲が良かった友人2人もそれぞれ、22歳と24歳で結婚をしました。私としても30歳までには絶対に結婚したいという思いがあり、将来についてどう考えているのか、彼によく尋ねていました。そして念願かなって彼からプロポーズをされたのです。
結婚が決まると、式場の手配や両家の顔合わせなどたくさんのことを決めなければなりません。しかし私は以前から、結婚情報誌などを読み漁り、ある程度のプランを計画してありました。結婚するのなら彼しかいなかったし、先に結婚をした友人2人が挙式の準備に追われて大変な思いをしていたのを見ていたので、ある程度色々なことを決めておいた方がいいと思っていたのです。始めのころは彼も私の手配力を感心していました。
ところが、式場に申し込みに行く前夜、彼から突然婚約破棄を告げられました。理由は、私の結婚に対する強すぎる思いが、彼にとって負担になりすぎたからです。
「君は僕と結婚をしたいのではなく、結婚式をしたいだけじゃないのか」というようなことまで言われました。大好きな彼との結婚だから、私は結婚式の準備を一生懸命にしていたのに、そんなことを言われてとてもショックでした。それに彼の負担を軽減させたくて、私は手配を引き受けていたのです。そういう気持ちをわかってもらえないうえに、ひどいことを言われて婚約破棄までされて、もうどうしてよいのかわかりませんでした。
先に結婚をした友人2人は、彼に直接話してあげると言ってくれました。しかし、会社の同僚のしばらく冷却期間を置くのがいい、という助言に従うことにしました。実際に何をしていいのか、何を考えればいいのかまったくわからなくなっていたので、何か行動することに恐怖を感じていたのかもしれません。そして結果としてはこの冷却期間がお互いにとってよかったみたいです。
その約1年後のことです。街で偶然、彼の妹と出くわしました。向こうから声をかけてきて、そのまま喫茶店に一緒に入りました。彼の妹とは同い年ということもあって、交際期間中から仲良くしていたのです。
彼の妹と何気ない会話を交わしているうちに、私はやはり彼のことが今でも大好きなのだと確認して、つい泣いてしまいました。そして泣きながら、彼の妹に自分の気持ちを語りました。彼の妹は同じ女性ということもあって、どちらかというと私の味方のような存在で、話をたくさん聞いてくれました。私としても1年の冷却期間の後だったので、そんなに感情的にならずに冷静に婚約破棄に至るまでの経緯を語れました。
そうやって語っているうちに、彼の過去のことも思い出したのです。彼の父親は単身赴任で地方に出ていた期間が長く、母親もパート勤務だったので、彼が幼い妹と弟の面倒をよく見ていたということを、彼の妹と話していて思い出したのです。彼はとても家族を大切にする人でした。婚約を決めたあとも自分の家族と私の家族にとって、どういうふうにこれからのことを進めていくのがよいか、よく考えてくれていました。しかし、私は彼のプロポーズを受ける前から、挙式についてプランをしっかり立てていたのです。それに合わないことはまったく聞く耳を持たなかったのです。そのことに気づいてから、彼に謝りの手紙を心を込めて書きました。
思いをつづった手紙を、再び彼の妹に会って託しました。それから3日後、彼から会いたいというメールがきました。そして会って、ちゃんと彼に謝ると、彼の方も私に謝ってくれました。
「一生懸命に式の手配してくれていたのに、ひどい言い方をしてしまってすまなかった」と、言ってくれました。さらにこの1年間、彼も私たちのこれまでの交際のことや、私のことを考えていたそうです。はじめの半年くらいは不安定な気持ちで考えていたけれど、だんだんと冷静な気持ちで考えられるようになり、もう1度やり直したいと思っていたそうです。
こうして今ではお互いの気持ちを思いやり、さらにお互いの家族のことも自分の家族のように大切に考えながら、行動できるようになりました。以前の婚約期間よりも、今の方が、心が安定していて幸せです。婚約破棄をされたときは人生最大の悲劇でした。その後の冷却期間も寂しくてつらかったけれど、その時期があったからこそ、復縁してより幸せになれたと思います。